前回に引き続き、先日NHKの番組「未来への提言 経済学者 ジェフリー・サックス ~貧困のない世界を目指して~ 」で紹介されたジェフリー・サックスさんと明石康さんとの対談番組について書きたいと思います。前回の記事を読まれていない方はそちらからお読み下さい。
さて、今回はミレニアム宣言を作成したジェフリーさん自身が行っているNGO活動、「ミレニアム・プロミス」の紹介です。ジェフリーさんは「最も貧しい人々は農村にいる」と考え、このミレニアム・プロミスでは主に「ミレニアム・ビレッジ」と呼ばれる村落開発活動を行っています。現在ではアフリカ10カ国の約80の村で村落開発を行っており、農業、医療、教育、電気・水道などのインフラ整備や技術協力などをドカンと包括的に行い、その相乗効果で村を開発していこうというプロジェクトです。
番組で紹介されていた村では、大きな貯水等を建て女性の水くみ問題を解決し、学校を建てることによって水くみから解放された子ども達に学ぶ機会を与える活動を行っていました。「井戸を掘る」「学校を建てる」「コミュニティーグループを支援する」などの活動を単発でやるのが精一杯な草の根NGOは数多くありますが、このミレニアム・ビレッジのすごいところはそれをすべて同時に行い、「学校を建てても生徒が集まらない」「女性は水くみに忙しくてプロジェクトに参加できない」等といった問題を包括的に解決し円滑な活動が行えるところだと思います。ジェフリーさんの「最初の一歩を与えたい」という言葉が、このインフラ整備をしっかりと行った包括的な村落開発の方針をよく表現しているように思います。
一方、この様な大規模な村落開発には限界があるようにも感じました。それは資金の問題です。番組中ジェフリーさんや明石康さんもこの問題は十分認識しており、明石康さんの「このプロジェクトはこのまま末広がりにつながると思いますか?」という質問と、ジェフリーさんの「ミレニアム・ビレッジは地元の人々から大きく評価されている。しかし資金が問題だ」とのやりとりによく表れていました。
私自身はこのプロジェクトで1つの村にどの程度の資金が投入されているのははっきりとわかりませんが、番組中のナレーションやミレニアム・プロミスの予算規模とミレニアム・ビレッジの数を考えると、たぶん「1つの村に億」に迫るお金が費やされていると思います。さてこれを少ないと見るか多いと見るかは人それぞれだと思いますが、1億を超える金額を扱えるNGOは日本には数える程しかありません。私はもっと遙かに小さな予算で10倍~100倍の数の村にその恩恵をもたらしたいと思ってしまいますが、そうするとこのミレニアム・ビレッジの趣旨である「包括的な村落開発」から遠のいてしまいますね。難しいところです。
しかし現実問題として、数十万は優に超える世界中の最貧困層の村々すべてにここまでの大金を用意することなど不可能に思えます。この不可能な金額の調達方法が、ジェフリーさんの言う「各国がGDPの0.7%を途上国支援に使えば貧困は撲滅する」という言葉につながるのかもしれません。そうすれば億ではなく兆単位の資金を得ることができるのですから。
いろいろ考えてみると、ジェフリーさんの活動の鍵を握るのは世界が途上国に目を向けるかどうかにかかっているようです。先進国の国々は経済至上主義、一国至上主義から抜けだし、ジェフリーさんのいう「共有の富」に価値を見いだすことができるでしょうか。世界的経済危機は経済至上主義の見直しに一役買っているようですが、自国の保護政策を推し進めたい先進国は途上国にはマイナスに作用しそうです。
私達のよりよい生活への願いが途上国の永遠の貧困を作っていることを痛感させられた番組でしたが、私達にできることは小さな募金でもちょっとしたボランティアでも、自分のよりよい生活のためではなく途上国の人々のために使ってみようという”心”なのかもしれません。
必要なのは、私達の力のたった0.7%なのですから。
関連リンク
・Millennium Promise ホームページ(英語)
・Millennium Promise Japan ホームページ












